このレビューはネタバレを含みます
初代多羅尾坂内
これもある種のプロパガンダ映画。戦後1年でこれを作った大映はエライ。
GHQは剣戟チャンバラが日本の軍国主義を増長すると禁止し、それに応じるため片岡千恵蔵の新境地を目指したエンタメ映画を作ることに。つまりGHQによる新しい価値観の押し付けに対応して作られているわけで。アメリカ万歳なんていう流れじゃないが、戦後占領期のプロパガンダ映画に他ならない。
しかしこのエンタメがすごい。ありがたい。失策尽くしGHQ、"刀狩り"もアホらし…って話ですが、ひるがえってそのおかげで多羅尾坂内というキャラクターが生まれたのだとすればそれは感謝すべきかもしれない。GHQ検閲下での産みの苦しみ、ありがたく21世紀の今もなおわたしたちを楽しませてくれます。