シンタロー

突然の恐怖のシンタローのレビュー・感想・評価

突然の恐怖(1952年製作の映画)
3.9
莫大な遺産を相続する予定の売れっ子劇作家マイラ・ハドソンは、新作のブロードウェイのリハーサルで、主役には美形が相応しいとレスター・ブレインを降板させてしまう。マイラの目論見は当たり舞台は大成功。サンフランシスコの自宅へ帰る汽車でレスターと再会。彼は意外なほど知的な好青年で、2人は急速に惹かれ合うようになり、やがて結婚するのだが…。
数々の強烈な性悪エピソードで知られる大女優ジョーン・クロフォード48歳が、製作総指揮も兼ねた力の入れようで、当然ながら出ずっぱりです。晩年はまるでセルフパロディのようなパンチの効いた役柄や演技を展開していった方ですが、そのきっかけとなった作品で、アカデミー賞主演女優賞候補にもなってます。若い頃はきかなそうな顔つきながら、可愛らしさもありましたが、メイクや髪型からして、ババァで結構よ!って覚悟が伝わってきます。
2人が恋に落ちるきっかけとなる録音機…電話を無視してわざとすっぽかそうとするレスター…結婚披露宴にシタリ顔で現れる女アイリーンとレスターの反応…観てる側はそういうことね、って感じなんですけど、そこからの"突然の恐怖"演出、クロフォードの顔芸劇場の壮大な幕開けが最高!恐れ慄く女から復讐の鬼へ変貌!ぶっとい男眉。獣のような鋭い眼光。への字口にシャクレ気味の顎。汗と涙で崩れるメイク。オバはんパーマ。誰得のゴージャスな衣装。計算され尽くしたセルフプロデュース力が素晴らしい。女優のエキセントリックな芝居は大好物です。
監督はデヴィッド・ミラー。知られてるのは本作と「ダラスの熱い日」ぐらいで、日本未公開の作品が多いです。レスター役はジャック・パランス。飛び出た頬骨。落ち窪んだ目。シャクレた顎。ブサイクとまではいかないが、総合爬虫類顔で、クロフォード様と対峙するなら、コレくらい顔面破壊力ないとね。映画デビュー2年目にして本作でオスカー候補になり、その後も名バイプレイヤーとして、国際的に長く活躍された名優です。アイリーン役にグロリア・グレアム。この時代のフィルム・ノワールに欠かせない女優の一人で、はすっぱで安っぽい感じが素敵。いかにも男好きのする顔です。
シンタロー

シンタロー