さわら

トゥモロー・ワールドのさわらのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
3.0
“策士策に溺れる”といった感があり。ワンショットの長回しが注目されるが(特に終盤)、逆にカメラの存在を意識し過ぎてしまい、「おまえ誰だよ」感は拭えない。すごく気になる。息をもつかせない緊迫感ある演出といえば聞こえがいいが、長回し演出の弊害をも併せて感じてしまった。それにしても、ピストル音・爆破音の鳴り響くなかの赤ちゃんの泣き声が印象的であった。両者が手を止め赤ちゃんの存在に気づき、一時期の静寂(平和)をもたらす。「子はかすがい」ではないけれども、やはり子どもの存在こそ“未来”である。しかし、しばらくの静寂のあと争いは再開される。あぁ、でもこれが現実かもしれない。飢餓・疫病・テロ・差別、この映画では暗い内容を露骨に描き、それに対し安易に救いの手を差し伸べないところに、キュアロン監督の“人の良さ”が感じられた。各々がこの暗い問題に結論付けをしなければならない。少子化の究極系を描いた今作、内容には引き込まれたが最悪なのは「トゥモローワールド」という邦題のダサさである。ディズニーランドのアトラクションみたいな名前ですが、内容はブラック。生半可な気持ちで見ちゃだめ、絶対‼︎