三樹夫

暴走機関車の三樹夫のレビュー・感想・評価

暴走機関車(1985年製作の映画)
3.9
最初は脱獄ものとして始まり、アラスカの刑務所からおっさんと若者の囚人が二人脱獄。凍えるような雪原の中を歩いて何とか四重連のディーゼル機関車に乗り込んだが、機関士が心臓麻痺で転げ落ちてしまい無人の列車が暴走し始めるというバカデカいハッタリをかましてきて心を鷲掴みにされる。もの凄い力技でここから列車パニックものが始まり、猛スピードで暴走する列車を止める術はまるで思いつかない。しかし無人と思われた列車には機関士の助手がいたとまたもやハッタリかましてきて、さっきまで昼寝してたけど衝撃で今起きたという機関士助手も加えた三人は果たして暴走列車を止めることができるのか。80キロ以上のスピードで走ると崩落する橋が迫る。他にも別の列車との正面衝突や行き止まりと息もつかせぬピンチが訪れ、さらに刑務所の所長もヘリで追いかけてくると、胸焼けするような濃い味のコッテリ映画になっている。最後は神話みたいな終わり方して最後まで謎のハッタリをかましてくる。
原案は黒澤明、監督は後にスタローン&カート・ラッセルの『デッドフォール』を撮る人。映画は画面が横長なので、猛スピードで横移動する列車ものは映画と相性が良いと言われている。

human worse than animalというような登場人物がほぼ全員碌でもない80年代のアメリカンな感じ。son of a bitchとassholeがもはや挨拶代わりで全員の口が悪い。指令室のメンバーが無能ジジイ上司、バカ二人、有能中間管理職の殺伐とした構成になっているコント集団で、落ち着いてクソもできねぇぜと有能中間管理職が貧乏くじを引かされまくるが、そこに劇中一番の極悪人の逃げた二人絶対に捕まえる所長が現れ、とんでもなく理不尽な目に合う。所長はもはや狂気の域に突入していて、必死こいて追いかけてくるが、部下が落下してきたシーンは声出して笑った。
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