菩薩

生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件の菩薩のレビュー・感想・評価

3.0
『光る女』のバス人体発火大爆発シーンを観てそう言えばと思い出し観てみた。原作未読だし事件の事もよく知らないので大した事は言えないが、後半の石橋蓮司との逃避行のくだりは本人の実体験なのだろうか、まぁまぁしょーもねぇと思うのだが…。前半の全身80%に熱傷を負った状態からの生還劇はなかなかのエグさで、しかも劇中常に肝臓の状態を気にしているのはこの時の非加熱製剤投与による肝炎罹患の為と言うのが更なる地獄。バス放火と心中未遂、二度生命を失いかけながらも潰える事の無かった生への欲求、加害者に対する赦しの感情と言うよりも、コンプレックスに塗り固められた人生をそれでも生きていく為に踏み台にされる他者への憐憫、言いたい事はなんとなく伝わるが、ちと思っている内容とは違かったかな…。桃井が脱ぐ必要性も感じられんが、桃井かおり劇場としてはなかなかの出来。真っ暗な独房の中で独り正座しながら俯く柄本明が何よりこの世の地獄を物語っている。放火は本当に、あらゆる行為の中で最悪だと思うよ。
菩薩

菩薩