HidekiIshimoto

八月の狂詩曲(ラプソディー)のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

4.0
題材が題材だけに黒澤映画の中で最も教育的な映画か。けど教育映画ほど鬱陶しいものもなし。元々かなり教育的な黒澤から活劇引けば鬱陶しくなるのはまあ仕方ない。公開当時観た時も、感動だけど鬱陶しいような、アンコ少なめの酸っぱい苺大福って感じだった。なのに今回観たらその酸っぱさに泣かされっぱなし。俺自身が鬱陶しいジジイなったってことだ。それともまた戦争がリアルになってきたからか。そういや黒澤世代の映画人達が、映画のことをシャシンと呼ぶのをドキュメンタリーやらでちょいちょい耳にしてきた。映画とは画を映すものじゃなく、真を写すものだったってことか、と酸っぱく思ったりもする。『影武者』以降の黒澤映画はどれも社会からズレた感じもしてきた。けど実は黒澤がズレてしまったんじゃなく、社会自体が写すべき真からズレてしまったからな気もする。現に真実とか死語の現代。まあ仕方ない。物言えばくちびる酸っぱしの余生を命みじ〜かし♪と口ずさみつつ生きる。