浜一

八月の狂詩曲(ラプソディー)の浜一のレビュー・感想・評価

3.5
★65年公開の「赤ひげ」以降、なかなか映画製作できなくなった黒澤さん。長らく5年に1本の寡作状態になっていたが、90年代に入ってアカデミー賞の名誉賞を受賞するあたりから「夢」、本作、「まあだだよ」と立て続けに製作・公開。また「七人の侍」もリバイバル公開され、ちょっとした黒澤明ブームとなっていた。
★松竹で映画製作したのは、「白痴」、「醜聞」に続いて3作目。
★長崎の山中で独り暮らすお婆さんの元を訪れる孫たち3人との夏休みの物語。
★お婆さんの甥っ子で日系人役としてリチャード・ギアが出演。日本語の台詞も話している。
★劇中、孫役の吉岡秀隆がリチャード・ギアにベッドを用意するシーンで「ジョン・ウェインみたいに体が大きい」といった事を言う。自分はここに違和感を感じた。自分と同じ世代の吉岡秀隆。我々の世代でハリウッドスターと言ったらハリソン・フォードあたりでしょう。ジョン・ウェインが例え話に出てくるって、どんだけシネフィルな役なんだよ!
★これは、この頃の黒澤さんが単独で脚本を書いていた事によるものだろう。若い世代の感覚とズレてしまった。ご本人はそんな小さい事気にするなと仰られるかもだけど。
★かつてのように複数人での脚本執筆をしてくれていたら。それも若い脚本家と共に作業してくれていたら。黒澤明の脚本執筆の技術、作法が若い映画人に伝承されていたかもしれないのにと思うのだ。
浜一

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