pompeii

八月の狂詩曲(ラプソディー)のpompeiiのレビュー・感想・評価

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おばあちゃんの古い価値観とそれ以外の人々の戦後アメリカナイズされた新しい価値観が静かに衝突する。おばあちゃんは戦後も長崎に住み、原爆投下日には今でも夫の供養を行い、非科学的な伝説めいた話をする。一方でその孫らはアメリカンなファッションを自然に着こなし、ハワイに憧れ、おばあちゃんのご飯や怪談話を遠ざけ、反発しようとする。さらにその父親は富豪(アメリカ)に取り入るような言動をとる。
おばあちゃんは兄とただ会うだけなのに、戦争が生んだ軋轢がアメリカ人と日本人を分断し、遂にそれが叶わなかった。リチャード・ギアと和解をしても、深い傷は決して癒えず、兄との永遠の離別は彼女を発狂へと導いた。
発狂したおばあちゃんは嵐の中を駆け、緊張感が最大限高まったところに、意表を突く軽快な「野ばら」の合唱が挿入される。ただ場面と音楽はちぐはぐにはならず、妙に合致していて、独特の読後感があった。

※役者の素人感溢れる演技は、なんだかこの作品にはぴったりだったなと。
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