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男はつらいよのmatchypotterのレビュー・感想・評価

男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.3
《ご長寿の映画》、Vol.2。
日本を代表するご長寿映画といえばこれしかないでしょ、『男はつらいよ』。全部で51作、だったかな。

松竹と山田洋次監督がが誇る伝説のシリーズ。

その第1作目、初めて観た。何作かはTVでやってるのをかいつまんで観たと思うが、ちゃんと観るの初めて。

倍賞千恵子さん、お年を召された今も凄い好きななんだけど、この第1作目、美しさ尋常ではない。
この可愛さ、一瞬で惚れる。チャキチャキしてて、奥ゆかしくて、でも寅さんとはやりあうやりあう。でも、おにいちゃんのことをいつも心配してる優しさ。
めちゃくちゃ可愛い。めちゃくちゃ綺麗。改めてファンになりました。素敵過ぎる。これだけでも観た甲斐があるってぇもんだぁぁぁ。

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。」

あまりにも有名すぎる口上。大騒ぎな男、車寅次郎。
20年ぶりに故郷の葛飾柴又に舞い戻る。
ご立派な口上で現れ、皆に慕われて凱旋、、、かと思いきや、トラブルしか作らない。

そして、何でもかんでも大袈裟、見栄っ張り、KY、単純、出たとこ勝負、無知の知、、、そう、それが“風天の渡世人”。

彼を観てると、本当に細かいことでくよくよするのが馬鹿馬鹿しくなる。いや、実は細かいことを気にしてる繊細さもあるのか。

さくらを引っ叩いて、育てのおじさんブチ切れて寅さんと取っ組み合いになって引っ叩かれて、そしたら引っ叩いたおじさんの方が血圧上がってぶっ倒れて。

その後、一緒に寅さんに怒り心頭だったさくらがその場にへたれ込む寅さんに寄り添って肩に手をかけて「おにいちゃん、大丈夫?」「あぁ、おいちゃんは大丈夫か?」「、、、うん」。

それで少し間を開けて手拭い渡して顔拭いたら寅さんの顔が真っ黒になって2人で肩寄せ合って「あははは」。

このシーン、大好き。

この平凡だけど、喧嘩してぶつかって、仲直り。
いちいちうるさいし、最初のキッカケすら忘れてしまいそうな大騒ぎ。

こんな喧騒と、兄と妹の絆がとっても素敵なシリーズ。

「こんな綺麗な妹に、こんな顔のぶっ壊れた兄がいるなんて驚きでしょ?」

「結構、結構、結構毛だらけ、ネコ灰だらけ!しりの周りはクソだらけ、か!」

「あ?お前と同じ気持ちになってたまるか!俺とお前は同じ人間じゃねぇんだぞ。早い話がだぞ、俺が芋食ったら、お前のケツからプッと屁が出るか?あ?、、、だろ?」

「大したもんだね、カエルのしょんべんだ」

何がだよ、笑うしかない。寅さんならではの独特の言い回し。
最初は面食らうけど、気付くとこの彼の世界観に周りも観てるこっちも引っ張られてる展開が堪らない。

このお茶の間で、家族も、近所のゆでダコ工場長も、誰も彼もがわらわら集まってワイワイガヤガヤ。これがお馴染みの風景。
揉めてんだか、仲良しなんだかよくわからない日常。
これが日本の古き良き昭和の下町風情。

「〜すいかの名産地〜♪」 

とにかくいちいち全ての一挙手一投足に色んなことを言いたくなる記憶に残るセンセーショナルな存在、“風天の寅次郎”。
今も昔もこんな生き方はなかなかできるもんじゃない。あっぱれ。

こんな名作、観続けるしかない。
彼のどさくさ紛れの恋の実らなさも必見。

さくら、ほんと可愛い。めちゃくちゃ可愛い。


F:1720
M:6970
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