夏藤涼太

男はつらいよの夏藤涼太のレビュー・感想・評価

男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.2
ずっと1作目を見てみたいと思いながらも、全然放送されないので、ついに配信に手を出してしまった。
なるほど、差別用語に放送禁止用語のオンパレード。こりゃあ流せんわけだ。

しかし、博打打ちみたいは精神を持ってして、品性下劣な話しかできないドブ人間の自分としては、寅さんみたいな人が身近にいたら楽しいだろうなあと思ってしまうし、見たあとしばらく江戸弁が離れなくなる。

一作目なのでまだ寅さんマナーが完全には確立されていないが、「俺とお前は別の人間だ、早え話が俺が芋食えば手前の尻からプッと屁が出るか?」は何回聞いてもわろてまう。

あと、90分とは思えないくらい大量のエピソードが入っていて、「え!?まだ続きあんの!?」と3回くらい驚かされるし、倍賞千恵子の「お兄ちゃん!」は妹萌えの元祖すぎる。

もはや昭和後期の文化的資料としての価値を持つに至っているくらい、今見ると、まあ古き良き(悪き)日本の姿が描かれている
(神前式を揚げたあと、その格好のまま、「結婚行進曲」が流れる披露宴に移行するのシュールすぎる)
わけだが…
冷静に考えると寅さんは69年の日本人としては言動がおかしすぎる(戦後初期レベルな)ので、上映当時のお客からしても、寅さんは「古き良き(?)日本」を体現していたからこそ、これだけ人気になったんだろうなぁ。
夏藤涼太

夏藤涼太