喜連川風連

男はつらいよの喜連川風連のレビュー・感想・評価

男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.0
なぜこれほどまでに、郷愁と共感を感じるのだろう。そしてなぜヒットしたのか。

同時代。日本のいちばん長い日がヒットした理由について
「オリンピックを目標に走ってきた日本人が、どこへ向かえばいいか分からなくなったときに、後ろを振り返りたくなったのではないか?」
とプロデューサーは語ったが、同じことが言えるのかもしれない。

当時の日本で確実に失われつつあった風景。
海外じゃそこまでヒットしなかったらしい同シリーズだが、それもうなづける。

なんであんな粗暴な男が簡単に受け入れられんだ!?とそうなるらしい。
なんだかほっとけなくて受け入れちまう、これが人情ですなあ。

粗暴な男をより人情味あふれるものにする下町言葉も、字幕からは通じないだろう。

立川談志は落語を「人間の業の肯定」と言っていたが、似たようなものを感じた。

どうしようもない人間を、肯定してくれる。寅さんを見ていると、あぁこんな俺でも生きてていいんだ、そう言ってくれるような気がしてならない。

「おい枕、いやさくら、枕出してくれ」
甘噛みしたカットをそのまま使っていて味わい深かった。
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