真っ黒こげ太郎

MAY -メイ-の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

MAY -メイ-(2002年製作の映画)
4.2
「他の部分も要る」


幼い頃から友達がいなかった少女、メイは母親に「友達は自分で作る物」と教えられ、やたら不気味な手作り人形、スージーをプレゼントされる。
メイはスージーと話をして孤独を紛らわせてきた。

それから月日が経ち、メイは成長し自立した大人になった。
ある日、メイはアダムという青年に一目ぼれし、アプローチを掛けて急接近!付き合うようになる。
しかし、アダムがどうしようもない男なのを知ったり、新しく出来た同性の恋人が他に同性相手がいたり、ボランティアに共に連れてきたスージーが壊れてしまい、メイは孤独を募らせてゆき…。



孤独な女性が、孤独の果ての凶行を描いた、サイコホラー・ドラマ。
何かで評判良かったのと、残酷描写があると聞いたので何となく観た。


序盤から中盤はメイのドラマをしっかり描いている。
冒頭は猟奇的な感じだが、内容は青春ドラマのような美しい物語。
恋する喜びや、まっすぐで純粋な思いが空回りする感情を美しく描いている。
メイは冷静に考えるとかなりヤバいとは思う。w
でも、「誰かに愛されたい」「友達が欲しい」という感情がひしひしと伝わってきて、そんな彼女の思いが裏切られてゆく様はかなり切ない。

それらを募らせ、終盤にはとんでもねぇ凶行を起こす。
グロ描写もあるが、割とおとなしい。(俺の感覚が麻痺してるのかもw)
しかし、愛されたい、純粋な重いが伝わり、何とも言えぬ感情が伝わってくる。
そしてその狂気の果ての結末。
あんな感じだから、物凄いバッドエンディングかと思ったら最後の最後で不思議な世界に変貌してビックリ。
…アレが「幸せな結末」か「切ないバッドエンド」かは分かれそうだが、何とも独特の余韻が残った。


…そう言えば同監督の「オール・チアリーダーズ・ダイ」をだいぶ前に観てたのですが、ラストのぶっ飛んだオチで驚かされた記憶があります。
…これがラッキー・マッキーさん(…スゴイ名前だ。w)の持ち味なのだろうか。
ラッキー・マッキーさんの他の作品の結末もこんな感じなんだろうか。w


単純なグロホラーではないし、ヒロインのキャラは賛否が分かれるかもしれんが、独特の余韻や美しさを味わえる、サイコホラー・ドラマの秀作。