これはきっと誰しもにある記憶。
きっと誰しもに刺さる思い出。
日本人の記憶。と言っても過言ではない。
いい意味でも悪い意味でも「日本人らしさ」といったアイデンティティの根底にあるような、
ノンフィクションホームムービーのような映画。
作為的な無作為はただ目の前を家族をありのまま見せ、是非も善悪もなく、生きている様を見せつけられているようで、自分の過去を覗かれたような気恥ずかしさがある。
強く、優しく、したたかで、怖い祖母の姿は全日本人が思い描く実像的虚像で、
さらに、業突く張りの頑固親父、それに半目する息子、気難しい少年、子供っぽい親戚の子供。世話焼きの姉。気遣う嫁。
全てがステレオタイプなのに、そこに嫌味を感じないのは、真に迫った素顔が見えるからだ。
キャスティングが見事なのかも。その演技も。
なにも映画的な大きい展開は無いけれど、
いつか消え去るであろう原風景に、
振り返るべき不変の故郷に、
いつまでも残しておきたい映画だ。
ポンジュノが推してたのを見て知ったけど、
うん、観れてよかった。