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歩いても 歩いてものmovieJackのレビュー・感想・評価

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)
4.0
是枝裕和監督作品
「海よりもまだ深く」鑑賞にそなえ
今作も阿部寛・樹木希林が
親子役とのことで鑑賞

是枝監督作品は
数作しか観ておらず
「そして父になる」はラスト前のデジカメ画像確認シーンには落涙させられ好印象であったが…
「海街diary」は美人過ぎる姉妹の非現実感と
何かを成し遂げるとか
何かに気が付き成長・変化するとかが無い淡々としたストーリーは
個人的に物足りなく感じていたが…

今作を鑑賞して是枝監督は
何気ない日常を切り取り
誰しもが大切に持っている記憶を刺激して自分に置き換えて想像させることにより
出演者を成長・変化させるのでは無く
観る側である私達を成長・変化させる物語を作る監督であると遅まきながら気が付いた

今作では
兄の命日に実家に帰省した次男(阿部寛)と同年代位ということもあり
彼目線で鑑賞していたが

子供時代の祖父母との思い出や
田舎で親戚と遊んだこと

思春期に実家で暮らしていた時のこと

今現在の実家に帰った時の感じと

今まで経験した事を思い出す
何気ない演技やセリフのリアルさに惹き付けられた

ラストにバス停まで見送られ
別れた後のバス内での阿部寛の「次は一年後位に来ればいいよね…」の気乗りしない言葉と
祖父が歩いて帰宅しながら「次は正月(4か月後)だね…」と会える日を楽しみにしている言葉
親と子の感覚の違いに
身につまされる思いを感じた

ゴンチチの心地よいギターと懐かしい風景
樹木希林はもちろん子役までの素晴らしい自然な演技により
まるで10才位から現在まで
シーン毎にタイムスリップするような感覚は初めての体験で

年齢および男女を問わず
全ての人の心に優しく
時に厳しく語りかける
素晴らしい作品であった
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