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宇宙大征服のHKのレビュー・感想・評価

宇宙大征服(1968年製作の映画)
3.5
タイトルからスペース・オペラやSFアクションを想像してたら大違い。
人類初の月面着陸をアポロ11号の実現より前に描いたシリアスなSFドラマでした。
原題は“COUNTDOWN”

しかも監督はSFと縁の無さそうなロバート・アルトマン。本作が実質的なハリウッド・デビュー作だそうです。

アルトマンも監督の1人だったTVシリーズ『コンバット!』と同じく劇伴がレナード・ローゼンマンのためドラマテイストもコンバット風。
そういえば主演のジェームズ・カーン(当時27歳)もロバート・デュヴァル(当時36歳)も『コンバット!』に出ていましたがどちらもドイツ兵役だったのを覚えてます(デュヴァルはゲスト扱いでしたが、カーンにいたってはすぐに殺られる敵独兵の一人でした)。

J・カーンとR・デュヴァルの2人は『ゴッドファーザー』の長男ソニー・コルレオーネ役と養子で相談役のトム・ヘイゲン役で初めて知りましたが、コッポラの初期作『雨の中の女』でも共演、ペキンパーの『キラー・エリート』でもダブル主演しており浅からぬ縁のようです。

物語では、アポロ計画の裏計画でありソ連との宇宙開発競争に勝つためだけの無謀な片道有人飛行計画“ピルグリム計画”が描かれます。
SF作品とはいえ現実に即したストーリーのため派手さは無く、アルトマンらしくやはり人間ドラマ重視。
ロケットのシーンはNASAの協力による実写フィルムのみで、CGはもちろん特撮といえるシーンもほとんど無し。でも当時の技術レベルで下手にちゃちなミニチュアを多用するよりはよかったと思います。

しかし、取って付けたようなアルトマンらしからぬラストに違和感・・・と思ったら出来が気に入らなかったワーナーがアルトマンをクビにした後で本当に撮って付けたラストだそうです。
なるほど納得。
そのせいで編集権も無かったアルトマンは自分の作品と認めていないらしいですが。
HK

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