不仲な親の都合に振り回され、色々なところを転々としたりぎくしゃくした生活を送る子供の悲劇が容赦なく描かれておりいつしか主人公同様気分が沈んでくることに。
特に一見物静かだけれど多情で自分の都合ばかり優先する母親のキャラが凄まじく、子供はおろか父親までどん底に落とし込んでしまう。それに止めをさすのがラスト、よくあの状況下で慎ましい顔で出てこれるな。ある意味『誰も知らない』のYOUのルーツと言えるかも。
冒頭での真剣な話をする母親とその回りを事情も知らずキックボードで走る子供の対比が二人の関係性を示す演出が見事。そして機関車と子供のカットバックの迫力も心に残る。
中盤色んなドラマを盛り込みすぎて子供視点のドラマがぶれてしまうけれど、終盤のシビアな展開が圧巻。そこからの救いのラストは主人公同様暗澹とするはず。
そして本作での厳しい現実とそんななかでもがく子供の対比という構成が戦後のイタリア・ネアレアリズモで開花するのが興味深い。