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子供たちは見ているのcyphのレビュー・感想・評価

子供たちは見ている(1942年製作の映画)
3.8
大人は判ってくれないの元ネタ 特にジャンピエールレオが浜辺を走るあのシーンのリファレンスがはっきりとあって、ここでもあちらでも孤独な少年のたましいが走ってる…とそれだけで泣ける お母さんが浮気相手と駆け落ちしてしまう、戻ってきて仲睦まじい家族に戻ったと思ったらまたお母さんが駆け落ちしてしまう、そしてお父さんが亡くなる…と3回も人生のどん底に突き落とすのひどすぎる そのたびに流れる子どもの涙の美しく透明なことと言ったら

本人も俳優をしていた色男デシーカは犬や子どもの切実さを魔法のようにカメラの前に結実させてしまう モテを素でやってきた男だからできるやつだ…と無理やり理解させられるかんじ、ただお涙頂戴物語にせず、人生ってそういうこともあるし愛は永遠を癒すことはないよねって淡々とした人生観はむしろ推せる 一方で無駄にこども好きなお医者さんとか出てきて、このひとわりと純粋に子どもが好きなんだな(あるいは好きなひとが好きなんだな)となる無邪気さも色男感ある 犬もまた出てきた

パパが強権的なモラ夫なのかと思いきやむしろ辛抱強く自己犠牲的ないい男なのが哀しい 泣き虫なパパ 母親の二度目の駆け落ちという決定的なシーンを目撃してなお、何も起きなかった、誰も来なかった、僕が病気になったからだ と言い訳する子どもぜったい幸せになってほしい…結末を知ってから見直したらまた感じかたも違うんだろう、バカンス先での手品のシーンとか刹那的な幸福が光ってて切なくてよかった
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