ガブXスカイウォーカー

十一人の侍のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

十一人の侍(1967年製作の映画)
3.8
十一人の侍が主君の仇を討つため、残酷な藩主を狙う東映集団抗争時代劇。同じ工藤栄一監督の『十三人の刺客』(1963年)、『大殺陣』(1964年)とごっちゃになる。
正直言って十一人全員のキャラは立っていないので、誰だかわからない者も多い。十一人の中には労咳で死んだ兄に代わって参加した紅一点・県ぬい(大川栄子)もいるのだがあまり目立たないのは残念。一番際立っているのは浪人・井戸大十郎(西村晃)だ。じつに美味しいところを持っていく。
音楽は『ゴジラ』、『大魔神』などの伊福部昭。重厚な旋律が作品を盛り上げてくれる(東宝特撮くりそつのBGMまである)。
時代劇を観ようとすると、たいてい『七人の侍』、『用心棒』など黒澤作品、『座頭市』シリーズ、『眠狂四郎』シリーズになってしまうので、『十一人の侍』までたどり着かないし、そのうえ三番煎じ(『七人の侍』も入れれば四番煎じか)のタイトルと内容で敬遠されがちだ。たしかに三番煎じなのだが、『十一人の侍』は武士の悲劇的側面のドラマ、迫力ある実録タッチの殺陣など見どころも多い野心作である。