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白い牙の一のレビュー・感想・評価

白い牙(1960年製作の映画)
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幕が開いた時点から既に破綻している家族の内部と彼女らが住む丘の上の邸宅周辺(沼)に人間の卑しさが充満している。男のエゴの権化・佐分利信は言わずもがな、風呂場に裸で突っ伏してオイオイ泣く轟夕起子に、期待どおりに欲負けをかます桂木洋子と南原宏治。舞台立てとキャラクターの過剰さにもうグッタリ。主人公・牧紀子ですら、その感情に乏しい表情でこちらを寄せ付けず、安息する隙がない。思いを寄せる南原の煙草の灰を受け止めようと素手を差し出す咄嗟の動作が怖い。犬は可愛い。
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