Pinch

欲望という名の電車のPinchのレビュー・感想・評価

欲望という名の電車(1951年製作の映画)
4.2
安易な俗っぽさと暗示的な文学性を両立させたタイトルは天才的だと思う。落ちぶれたアメリカ南部の名家の惨めさ、都会の労働者階級の猥雑さとやり場のない暴力的エネルギーを象徴するに打ってつけの比喩。昔このタイトルが気になって原書を読もうとしたが、よさが実感できずにすぐに投げ出し、今まで映画を観ることもなかった。

最初から前半にかけて、役者同士の機敏な言葉のやり取りがたまらなくスリリング。ブランチの正体が明らかになるにつれて、時代の変化に取り残される個人の惨めな姿が浮き彫りになる。歴史が生む人間の一類型。それでも人々の生活は続き、歴史は進んでいく。ヴィヴィアン・リーの名演は古臭く感じられても、若きマーロン・ブランドのカッコよさと存在感は今見てもなお新鮮!
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