shunsukeh

K-19のshunsukehのネタバレレビュー・内容・結末

K-19(2002年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

一番心に残ったのはヴァディムの葛藤だ。無防備で原子炉の修理にあたることは死を意味する。ヴァディムは仲間が入れ替わり立ち替わり果敢にそれに臨む中、泣き震えながらそれを拒む。文字通りの決死の作業に挑むヴァディムの仲間たちの心境はどんなものだったろうか。軍人として当たり前のことなのか、国のためか、家族や恋人のためか、名誉のためか、あるいは、不名誉を被らないためか。生き続けたい欲求は人間の根源的なもの。それを抑えつけるそれらは単純ではなく、また、強力なものであるはずだ。想像を絶する。そして、それを目の前にして、泣き震えるヴァディムは、根源的な死への恐怖、家族や恋人への想い、仲間への申し訳ない気持ち、勇気のない自分への呵責、被る不名誉へのおののき。これも、複雑で押しつぶされるくらい重たい。彼が死を覚悟して修理に向かい戻ったとき、そして、その成功を知らされた時、計り知れない達成感とともに、その重圧からも解き放たれたのだろう。
shunsukeh

shunsukeh