ひたる

ルパン三世 風魔一族の陰謀のひたるのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

声優総入れ替えの実験作。
演技は悪くないが、どうしても違和感が拭えない。古川さん演じるルパンは軽すぎて締まらない印象を受けた。次元はとにかく渋い。ルパンの軽めの声質がより低音を引き立てて、軽口を叩き合う場面も全然シリアスが抜けなかった。五右衛門は違和感なし。不二子は高頻度で棒読みになるのが気になった。

今作はとにかくカーチェイスが良かった。
車の外にカメラを置いた三人称視点から運転する銭形の一人称視点に切り替わるところや、様々なロケーションを転々とする点がバラエティに富んでいて観ていて楽しかった。「カリオストロの城」は短いながらも「壁走り」など強烈なインパクトを残す洗練されたものだったが、こっちは長尺でありながら飽きが来ないよう細部まで工夫を凝らされた職人芸だった。

ストーリーは安っぽかった。仕掛け屋敷が舞台なのだが、その謎誰でも解けるやろ!とか、そんな色仕掛けに無警戒で近付くやつがいるか!とかツッコミどころに事欠かない。コミカルな描写だから、と言えばそれまでなのだが、挟み方がいささか急すぎるのに加え、ストーリー全体の雰囲気を考慮してもリアリティラインを大きく下回りすぎていて浮いていた。
そして不二子がプロ意識の欠片もない。宝に目が眩んで簡単に敵に捕まったり、終始何もせずルパンをすぐ頼るところなど、作品における不二子像が他作品と乖離しているように感じた。今作のヒロインであり、五右衛門の花嫁である紫の方が、敵の弓を奪って射っていたあたり協力的だったといえるだろう。赤い革ジャンを纏いバイクに跨る姿は見掛け倒しで女泥棒としての魅力は今作にはほとんど描かれていなかった。
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