死んだコメディアン

宇宙戦艦ヤマト 完結篇の死んだコメディアンのネタバレレビュー・内容・結末

宇宙戦艦ヤマト 完結篇(1983年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

完結編という事で無理やり沖田艦長を起用。
何度みても泣いてしまうくらい好き。
ただ、似たような題名で余計な付け足しのある映画もあり、そっちは超絶嫌いです。

冒頭で銀河が交錯して、デスラーのいるガミラン・ガミラス星へ向かうヤマト。
到着したヤマトが見たのは、崩壊したデスラーパレスだった。古代は白い花束を投げ哀悼の意を表する。

地球への帰還時に、謎の敵勢力に襲撃され甚大な被害を受けるヤマト。多くの乗組員を死なせてしまった古代はヤマトの艦長を辞任する。
そう、古代は失敗での責任の取り方が辞任なんですよね。

そして満身創痍のヤマトへ出撃命令。
アクエリアスのワープを止めて地球の水没を阻止する事だが、艦長は…。

長官が登場して一同は新艦長は長官か?という所で新艦長は昨日からヤマトに乗り込んでおられるとの事…。

そこに唐突に発令が、
「私は宇宙戦艦、初代艦長の沖田十三である。只今よりヤマトは出航準備に入る。総員配置につけ!」
って所でみなが驚愕した顔がいい。いつもここでグッと来て涙が流れる。

僅かに残った護衛艦を随伴してアクエリアスへ向けて出航したが、敵の待ち伏せにあい戦闘に奮戦するも護衛艦隊は壊滅状態に、敵が補給に引き下がった所に負傷している古代から敵の追跡を具申し許可した後で静かに伝達。
「主砲に波動カートリッジ弾を装填しておけ」
戦線を長く離れてたはずなのに、波動カートリッジ弾の存在とか把握しているあたり流石です。

敵の基地を発見した古代からの報告。負傷のせいで報告がままならない状況。しっかりしろ!と叱咤したくなる場面をグッと堪えて、ナビゲーターの雪からの報告を聞いて即座に砲撃指示。ここで装填していた波動カートリッジ弾が功を奏す。
敵の攻撃艦隊を一掃する。

敵本拠地付近での戦闘でやっと波動砲の出番。
「波動砲発射用意!」
「艦長前方に小惑星帯が…」
「かまわん!惑星ごと粉砕せよ!!」
いつもは波動砲での影響を極力小さくするけども
波動砲の衝撃で飛び散った小惑星帯の破片もあいまって敵艦隊を撃滅する。これも計算に入れてた?だとしたら凄い洞察力。

波動砲の無理がたたって、敵のビーム兵器をまともに食らう状態に、だが波動エネルギー漏れで出来たスクリーンで攻撃が防げたとわかった途端。
普通の艦長なら一旦距離を取ったり、そのまま逃げすが…
「よぉし、反転180度。波動砲口よりエネルギーをリークさせ、敵衛星中心部へ強行着陸!」
と敵の上に強行着陸する。

負傷した島が最期の頼みとしてヤマトを出航させるシーンで、
「島!爆発で都市衛星の構造が脆くなっている、弾みをつければ下に突き抜けられるぞ!」
と瞬間瞬間の状況分析能力が高すぎる。負傷した島に最期まで(途中で真田さんの補助もあり)発進させる。ここで島は戦死するが、みな泣き崩れる中、ビッと敬礼をする艦長かっこいい。

それでも作戦は失敗して、地球に報告している時に君は良くやってくれた労う長官に
「長官、私はまだ絶望はしとらん」
「お、沖田くん。こ、この上でどんな、どんな策があるというのかね!?」
「わからん。無いと言った方がいいかも知れん。それでもわしは諦めない。あの若者たちとヤマトのある限り」
わからんし無いのよ。無いんだけども何とかしてくれそう。絶対に諦めない不屈の男です。

惑星アクエリアスに降りてトリチウム(燃料)を積む許可を具申する古代に
「目的は?目的も説明せずに許可できると思うかね?」
「結果が証明すると言う事ではいけませんか?」
「古代、お前は平気でこのヤマトを爆破することができるのか?」
「艦長も同じ考えを…」
「うむ、ただ乗組員の動揺を抑え一糸乱れずに行動するにはどうしたらいいか考えあぐねていた」
「私もこの手でヤマトを爆破するなんて…でも、それだけが地球を救う方法なら…」
「はっはっはっ、大きくなったな古代。お前のおかげでわしも決心がついたよ。」
最後の作戦も失敗し、ヤマトの自爆で地球を救う事を決断。ここで本当に古代を、もう大丈夫だと認めたんだと思う。肩をグッと掴み。
「だがな、古代。誰が波動砲の引き金を引くんだ?この作業は微妙なタイミングが重要だ、自動操縦では万一失敗の恐れがある。」
「それは…もちろん戦闘班長である私が…」
「お前が?お前が引き金を引くのか?」
「はい」
「雪はどうする?お前が死んであの子一人生き残っても幸せにはなれん。それに雪を幸せにしてくれと死んでいった島の言葉を忘れたのか?」
…このセリフの重みの為に島さん死んじゃったのね。

「私が残る。お前の仕事は乗組員を説得することだ」

乗組員を第三艦橋に集めて作戦のブリーフィング。
これから惑星アクエリアスに着水してヤマトにトリチウムを満載。『自動航行』にて地球とアクエリアスの最接近ポイントで待機。波動砲を内部爆破に切り替え波動エネルギーとトリチウムを融合爆発させ水柱を断ち切る!…ヤマトはそこで自沈する。その前に諸君らは駆逐艦冬月が到着しだい退艦するように。

みんなヤマトが大事なので沖田艦長でも構わず食って掛かる。そんな中一番反対しそうな古代が乗組員を一喝。
「古代さん!あんたあんな命令が承服できるのか!?」
「出来る!」
ピシャーンとみなを説き伏せる。これで皆一糸乱れず行動して期限までに作業わ終える。

そして地球へ向けて出発した時に敵艦隊が現れる。すぐさま攻撃体制へ移行の指示を出す古代に対し一喝。
「まぁて!ヤマトは今とリチウムを満載している、動く水爆のようなものだ!いま一発でも敵の攻撃を受けるとひとたまりもないぞ!応戦はせずにワープのタイミングをはかるのだ!」
その場、その場の咄嗟の状況判断が素晴らしい。でも、敵艦隊はもう攻撃態勢。ここまでかと思った時に、あのテーマが…ヤマトと言えば彼ですよ。

「古代、一言、礼が言いたくて、あの邪魔者は私が相手をしよう」
ここでデスラーが登場。冒頭で古代が投げた白い花を一輪もっており、キザっぽく胸ポケットに。
完結篇だもんね。デスラーもいなきゃね。

そして最期は…作戦通りに…。

いつもいつも、先を読み、即断するあたり沖田艦長の有能っぷりを堪能できる映画なので私は大好きです。

初代の頃から順風満帆とは真逆で、失敗や惨敗続きの中で、最後まで諦めずに成果を出してきた沖田さん。この当たりの精神的な強さが古代との対比になり沖田艦長の偉大さ、終盤に見せた古代の成長が伺える映画でした。キャラのセリフ、行動表情、艦隊の配置、戦法どれをとっても、何度も何度も考えて考えて作られた映画なんだなと感じましたし、沖田艦長が大好きすぎるやろ(笑)って思ってしまう脚本でした。

そして、また地球を目前にして帰れなかったんですか艦長…。

古代、雪、二人の子供だきっと可愛いんだろうな。わしにとっては孫のように思えるわい。

地球よ、あの子たちの事を頼みます。
ヤマトよ、これまでの戦いで死んでいった戦士たちの所へ行こう。

沖田艦長は本当にヤマトの父親的存在でした。
ずっとずっと大好きです。

■オマケ
「真田さん!テストは!?」
「そんな暇あるか!」
「3番、5番、1番の順で撃て!」

いつも必ず結果出すよね。真田さんも。
うん。兄貴は真田さんだな。。