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ブラボー!若大将のmのネタバレレビュー・内容・結末

ブラボー!若大将(1970年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

1971年の五社協定の消滅が迫り、邦画界が衰退の道をたどっていく中、このシリーズにもその荒波が押し寄せている。

若大将は初めての失恋と失業を経験する。その風貌は、髪型といい、少しふっくらした顔つきといい、宍戸錠に憧れているとしか思えない。考えてみれば、男女の逢瀬が繰り返されるレストランも、どこか日活アクション映画のようだ。小津(松竹)を思い起こさせるには、前2作で描かれた娘の結婚と父の悲哀や、本作で描かれる家族の崩壊があれば十分だ。さらに、後半で若大将がトラックに乗る姿は、後に始まる東映の「トラック野郎シリーズ」を予見している。

西洋美術における世紀末芸術が、さまざまな分野の総体として大きなうねりを生み出していたように、本作は五社協定崩壊前夜に登場した『若大将・フリーズ』だった。

だからこそ、最後には「ブラボー!」と、"歓喜の歌"を高らかに響かせるのである。
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