だい

鶴は翔んでゆく/戦争と貞操のだいのレビュー・感想・評価

2.6
まあ、よくある出征した婚約者の帰りを待つ女性の話。

ウォータールー橋の頃からあるから、
少なくとも1930年代からの普遍のテーマ。


こういう映画って当時、
どういう人が観たがって行ってたんだろな!?
女性側の視点だから、
当然どちらかといえば女性が観たがりそうな映画だけど、
1930~50年代とか、
女性が一人で映画に行くのとか、
まだそんなに当たり前じゃないだろうし、
この時期だと実際に従軍してた人も多いだろうから、カップルや家族でいるのもいろいろ気まずかったりするのかな。
とか。

いらぬ心配。



撮影技法が凄い!
とか。
わかるのはわかるんですが。

ぼくみたいなバッキバキの素人は、
だからこの映画が面白い!
とかなるほど撮影技術の知識も思い入れもないので、
イコールこの映画が良かった!
とはならんかったな。

同じソ連でも、
絵作りならストライキのほうがインパクトあったし、
ストーリーなら誓いの休暇のほうがせつなさあった。

トータルで普通の反戦映画という感想以上にはなりませんでした!


強制的に手篭めにされたとはいえ、
何だかんだ結婚まで踏みきっといて、
「私の前から消えろ!」
とか、
情緒不安定が過ぎるのでは!

あと手紙もあれよ。
あんなん気付かんやろ。
大事な手紙の渡し方としてNG大賞。



ってかさ。
ソ連って常に好戦的な歴史のあった国で、
そして国民の政治意識がかなり制限された国だったわけで、
そんなソ連でもこういうストレートな反戦映画ってあるんだな。
っていうのが、
いちばんのサプライズよね。

実際、
こういう映画に感動した人たちは、
その後のいろんな紛争をどういう気持ちで向かえたんだろな。

そして今のロシア。
この映画を観た人は何を思う?
さすがに60年以上前の映画を観た人ももうあまりいないのかな。


ただこういう映画って、
ミニヴァー夫人みたく、
こんな悲惨な事態を招かないように独裁者を戦争で倒しましょう!
という解釈もできちゃうので。


どんな反戦の論座も、
自由な政治意思が封じられた国では、
何の力にもならないのだ。


冷戦下ソ連でさえ持ち得た反戦の意識。
冷戦よりも現代は後退してるな?

世界中の政治家は、
古典映画を必修にすべきだと思うんだよなあ。
だい

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