ヨミ

おもひでぽろぽろのヨミのネタバレレビュー・内容・結末

おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

むつかしい映画でした。

都会から「ふるさと」に憧れて、姉の結婚でできた新しい親戚筋の山形への紅花の収穫へ行く。その道すがら、小学5年生の自分が取り憑くようにやってきて、記憶と邂逅する。
やがて、「ふるさと」が好きな自分は、いい子のふりをしていただけで、実は何もわかっていなかった、そういう自分は小学5年生から変わらないのだと自覚してしまうが、山形の青年に持った安心感にも気付き、主人公は東京へ帰るのをやめる。

「都会の女は農家へ嫁げ」的な勲からのメッセージとして受け取り、批判するのは果たして正しいのだろうか。もちろんそういう自然至上主義的な面がないとは言えない(都会のごみごみした汚さや農家が自然と共生していたり、有機農業の萌芽などの対比が強くある点で、新海誠的な「都会の美しさと田舎の美しさ」みたいなのではない)。
疑問なのは、東京へ帰るのを取りやめ、逆の列車に乗るように促すのは(かつて様々な自発性を抑圧されてきた)小学5年生のタエ子自身なのに、車で本家へ向かっていくそのタエ子の顔は晴れやかでないということだ。やや意地悪に勲の前述のメッセージ通り読めば、「自己決定できず、なんとなく都会で生きていた女性が初めて自分から決めたことだが、しかし実際の辛さはこれからだ」的にも取れるが、どうもそうではなさそう。何しろ27歳のタエ子は山形の冬の厳しさを自分は知らない、と直前に思い悩んでいるから。そしてそもそもタエ子は割に自己決定を(大人になってから)してきたタイプのひとではないか。「結婚してない女も割と普通」的なことを言っているし、別に今回のことがなければ結婚しないで楽しげに人生を送ってそうだもの。

なかなか単純な理解を拒む映画だった。
しかし、時代性や小学生の判断力では仕方ないとは言え、生理いじりとかが結構キツく、不快感もまた映画なり作品の醍醐味とは言え、そんな長くなくていいんじゃないのと思ってしまった。そう、全体的に長すぎる。これ2時間もやる話なのか?となってしまった。
ヨミ

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