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ヴィダル・サスーンのodyssのレビュー・感想・評価

ヴィダル・サスーン(2010年製作の映画)
3.5
【シロウトにもよくわかる】

美容や理容のことに無知な私は、サスーンの名すら知りませんでしたが、この映画はそんな私でも十分楽しめる出来に仕上がっています。

父に捨てられて事実上の母子家庭となった貧しい少年時代から始まって、戦後英国の理容業界の様子や花形理容師の存在、そしてその世界に入ってのし上がっていく過程などが非常に分かりやすく描かれています。

やがてアメリカに渡り、マスコミの寵児ともなり、テレビの司会者を務めるまでに。家庭的にも、最初の英国での初婚は短い期間で終わりを告げますが、アメリカに渡って二度目の結婚をして子供も生まれ、名声と富と家庭、三拍子そろった恵まれた人生風になっていきます。

しかしやがてその家庭も崩壊。人間って難しいものだと痛感させられる。でも、そこで終わりではなく、三度目の結婚がある。

80歳を超えたサスーンの、すらりとした身体と機敏な身のこなしにもびっくり。普段から体を鍛えることに留意しており、1日14時間働くをモットーにしているとのこと。50代の頃に撮った映像が挿入されていますが、そのアクロバティックな体の動きは、20代の体操選手かと思われるほど。

また、彼のカットによる女性の髪が、モダンな女性の生き方そのものを作り上げていくのだということもよく分かります。有名な女優も彼に髪をカットしてもらっている。
見て損はない映画と言えましょう。
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