ばーとん

パリの灯は遠くのばーとんのレビュー・感想・評価

パリの灯は遠く(1976年製作の映画)
3.8
正真正銘のフランス男が、同姓同名のユダヤ人に間違われることから、とんでもない事態に発展していく映画。巻き込まれ型&仕組まれ型サスペンスとして面白いし、アラン・ドロンが抑圧される側の理不尽を体験を通じて知っていく過程の見せ方も上手い。女にピアノでインターナショナルを弾かせるシーンは高揚感がある。クライン氏、この時点ですでに共産主義に目覚めちゃってる。J・ロージーのレッド・パージに対する怨みがよく活きた映画。レストランの鏡に映った自分をみて立ち尽くすシーンに象徴される、曖昧な実存についてのモノガタリでもあって、所々アントニオーニっぽい瞬間がある。ラストの「すぐ戻る」のセリフ。いままで聞いてきた多数の「すぐ戻る」の中でも最高レベルに絶望的だった。
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