140字プロレス鶴見辰吾ジラ

身代金の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

身代金(1996年製作の映画)
3.6
【破天荒】

航空業界で力技で成り上がった男は息子を誘拐される。犯人から要求される身代金。怒りに満ちた男は予測不能のカードを切る。身代金を懸賞金代わりに犯人に逆要求を叩きつける。息子の命は?父親としての務めは?一寸先は闇を知る男の無謀な戦法に周囲は揺さぶられる。メル・ギブソン主演、彼の荒々しい演技や人柄が滲み出るサスペンススリラー。

型破りな男の予測不能な決断は、犯人に屈しない強いアメリカの親父文化の象徴か?それでもリスキーな身代金の使い道をフックに爆走するオヤジ。息子が誘拐される風船のカットは不安を煽るし、犯人側も犯人側で優しさのある男の悲運も描き、アメリカとテロの闘いまで思いを巡らせても良い。大仰かもしれないがアメリカ流の強いオヤジと裏でひしめく悪との闘いはランタイムを体感的に速くする。メル・ギブソンとゲイリー・シリーズの情熱と冷静の一進一退は、“顔力“映画としても魅力的。駆け引きや暴走の末に優しさのゆえに散ったモノや、息子の失禁シーンの誘拐された側のトラウマも含め、単なる誘拐映画としての型にハマらなかったスリリングさが見物。