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上意討ち 拝領妻始末の一のレビュー・感想・評価

上意討ち 拝領妻始末(1967年製作の映画)
4.0
小林正樹監督作品

『切腹』と同様、滝口康彦の原作をもとに橋本忍が脚本を務め、武家社会の不条理な封建制を痛切に批判した重厚な時代劇

いやーめちゃくちゃ面白い
『切腹』にも全く見劣りしないレベルの傑作

本作も変わらず、良くも悪くも武士道に翻弄される不条理な世界の人間ドラマで、痛快な娯楽作でもなければ重くシリアスで後味も良くは無いけど、この静寂の中の異様な緊張感の先にある独特な世界観の構築は小林正樹にしか作り得ない

いかなる理不尽な命令だとしても、鶴の一声でなんでもありという恐ろしさをこれでもかと見せつけ、主人公達には問答無用に感情移入してしまう

そんな権威に屈しない役を異次元の存在感を放つ三船敏郎が演じることで、セリフの一つ一つの重みがまるで違い、物語の重厚感が極限へと達する

モノクロならではの美しい映像に、シンメトリーな構図は相性抜群
悲哀が漂うひと味違った時代劇ですが、『切腹』の双璧と言える非常に完成度の高い作品だった

〈 Rotten Tomatoes 🍅※100% 🍿93% 〉
〈 IMDb 8.4 / Metascore 90 / Letterboxd 4.2 〉

2021 自宅鑑賞 No.359
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