いかえもん

薄桜記のいかえもんのネタバレレビュー・内容・結末

薄桜記(1959年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

るいさんおすすめ市川雷蔵作品。
どうも大菩薩峠3部作はかなりマニア向けだったようで、そんなところから入ってしまった(だってテレビ放送されたのそれしかなかったんだもん)私には、今一つ市川雷蔵氏がどのくらい魅力的な俳優なのかがわからなかった。もちろんお顔はお美しいけど、人物像がよくわからん…(それは机龍之介のせいなんだけど)。

そして、るいさんからこの映画は見やすくてお勧めですよとご紹介いただき、テレビ放送をまたまた録画して観ました!

これは確かにお話もわかりやすくて面白かった。
忠臣蔵のスピンオフって感じの作品で、雷蔵さんと勝新さんのお二人が主演です。雷蔵さんは大菩薩峠の時と同じくシュっと背筋の伸びたザ・侍!の丹下典膳さん。そして今度は中身もちゃんとしたザ・侍!
千春さんってお嫁さんをもらってそれはそれは大事にしていてて、なんかちょっとうらやましいぞ。
そして対する勝新さんは、丸顔のかわいい感じの堀部安兵衛。座頭市の時と全然ちがーう!だけど殺陣のシーンになると、すっごい!キレッキレ!この堀部さんも千春さんのことが好きだったんだけど、丹下さんに持っていかれちゃったので、仕官先を変えることになる。こうして少しずつ歯車が狂っていって、本来仲良くなれたはずの二人が敵同士にならざるを得なくなる…という感じのお話。

千春さんが、京都に行ってしまった丹下さんを思いながら、一人妄想芝居をするところが、ちょっと恥ずかしいやらかわいらしいやら。やはり女子には推し妄想が必要なのだな、うんうん(違うか?)。

そんな仲良しの二人が引き裂かれ、離縁してしまった千春さんを道で見かけて、心の中であの人もう独身だし…とかぶつぶつ呟く堀部さん、かわいい~!!純情すぎる!!

丹下さんが千春さんの敵をとろうとして、お前らのような畜生どもに振る刀はないっ!みたいなこと言って棒で首の骨折っちゃうとか、刀ってそんな強い力で振るもんなのだなと改めて思った。しかし、そんな丹下さんを、その武器反則だろ!!!という武器で傷つけるおっさんに腹が立つのなんのって!武士の風上にも置けんっ!!!それ許されるのインディ・ジョーンズだけ!

そして、身体が不自由な状態でもう死ぬとわかっていながら戦う丹下さんと、そこへ駆けつけた千春さん。この千春さんをまた、その!その武器あかんって言ってんでしょ!!!
堀部さんが来てくれたけど、時すでに遅し…。
雪の上で手を握りあう丹下さんと千春さん。そしてそれを見つめる堀部さん。切なかった…すべてが切なすぎだったわ…。
千春さんもひどい目に合うし、丹下さんもかわいそうだし、堀部さんも切ないし、なんか色々悲しい物語だけど、よかったです。
雪の夜のシーンがすごく素敵なんだけど、あれはスタジオ撮影なのかなぁ。しんと静まった雪の夜の雰囲気がとっても良かった。
るいさんお勧めありがとうございました!