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アンジェラの灰のクリームのレビュー・感想・評価

アンジェラの灰(1999年製作の映画)
3.8
アイルランドと言えば極貧国だった印象だけど、実際にあんな生活だったとは…。少年フランクとその家族が悲しみを乗り越え、たくましく生きて行く姿がテンポ良く描かれます。地味だけど何故か目が離せず、暗いけど重い気持ちにならない不思議な映画で、ラストも良かったです。

1930年代。 マラキとアンジェラはNYで出会い結婚して、5人の子供に恵まれるが、マラキは仕事もなく失業手当すら酒代にしてしまう駄目亭主。 末娘を亡くした事で、アイルランドに戻る事になります。 しかし、アンジェラの実家リムリックの街での生活も厳しいものでした。長男フランクは、そんな中で成長して行くのでした。



ネタバレ↓



IRAのメンバーである上、酒好きでプライドだけ高い糞亭主マラキは、国に帰っても職を得られず、一家は極貧の生活から抜け出せません。そんな中、幼い双子の兄弟が相次いで病死。その後、マラキは仕事で稼いだお金も失業手当ても赤ん坊のお祝い金も全て酒代にしてしまう。 養えない癖に双子が亡くなってすぐにまた2人の赤ん坊を作った。去勢しろ!で、職を求めてロンドンに。クリスマスに帰って来たものの再びロンドンに戻り、一度だけお金を送って来たが、それ以後、消息を絶つ。
一家は、家賃滞納で家を追い出され、親類の男性の家に居候させて貰うのですが、アンジェラは家族の為にその男と関係を持ち、フランクもこき使われます。
そんな状況に耐え兼ねた15歳のフランクは家を出て、叔母の助けを借りて郵便配達として自活し、必死で貯めたお金で、夢に見たアメリカに旅立つのでした。

本当に酷い生活で、雨が降ると1階はくるぶし迄水が溜まる。教会から残飯のほどこしを貰ったり、幼いフランクが石炭運搬の仕事をする程。母はタバコばっかり吸ってるけど良い人。フランクが働き始め、会いに来るシーンがあるのだが、お金の無心をしたら嫌だなぁと観てたけど、そんな事しない良い母だった。フランクもあんな環境下なのに良い子に育って良かった。
後、糞尿を道路に撒き散らしてたのは、ゾッとした。
良い映画だったと思います。

※原作でフランクは、NYで仕事につくと母や弟を呼び寄せ、母が亡くなるとその灰を故郷に捲く為に帰ったのでこのタイトルなのだそう。
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