ヘラルドスクエア

アンジェラの灰のヘラルドスクエアのレビュー・感想・評価

アンジェラの灰(1999年製作の映画)
3.5
これぞ映画。
アラン”ザ ウォール”パーカー監督の重厚な名作。
幼い男の子が20歳ほどの少年に成長するまでを描きます。
この間に人生で起きるであろうほぼすべての出来事が次々押し寄せてきて、すでに一大叙事詩となっています。
世界大恐慌で貧困のどん底のNYブルックリンから故郷アイルランドに引き上げた移民たち。
故郷でも北アイルランドとの問題やカトリック教徒であることで差別され、最下層のコミュニティに落ちます。
飢餓状態、雨、雑排水と糞尿まみれ。
どんどん死んじゃうし。
それでも宗教だけが魂の救いです。
エミリー ワトソンさんは相変わらずのマゾ女優ですね。この人が虐められないことには始まりません。

子どもの遺体が入った小ぶりの棺桶をテーブルにしてギネスビールを飲む。
本物のアイリッシュパブにはキリスト像やマリア像が壁にある。
アイリッシュは結局大酒飲みで喧嘩ばかりしている。
リバーダンスはお教室に通って習うもの。
アイリッシュヒーローはやっぱりジェームズ キャグニーさん。
あちらの学校は先生が生徒を鞭で折檻する。

聖フランチェスコの前で回想シーンと共に告解して救われた少年が、横丁の住人たちと月食を見上げるシークエンスは最高に映画的表現です。