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シンドバッド黄金の航海のnoteのレビュー・感想・評価

シンドバッド黄金の航海(1973年製作の映画)
3.5
航海中のシンドバッドは、上空を飛ぶキラリと輝く物体を発見し、弓で撃ち落とす。それは黄金に輝く扇形のパーツを運ぶ途中の、有翼の小怪物だった。そのパーツを3つ揃えて合体させると奇跡の力を得ることができる場所の位置を示す地図となる。悪の魔術師クーラは奇跡の力を我が物にせんと、3つのパーツを狙っていた…。

「アラビアン・ナイト」最大のヒーロー、シンドバッド。
「インディ・ジョーンズ」も「ワンピース」もシンドバッドが原点だと私は思う。
子どもの頃に見て以来だが、あの頃のワクワクする冒険への憧れが甦ってきた。

かつてクーラの火炎魔術を受け顔に大火傷を負い、黄金のマスクをかぶっているマラビア国宰相ビジエルと協力して、シンドバッドはクーラより先に奇跡の場所に向かおうとする。

生命が宿ったかのように暴れ始める船首の女神像や、未開の原住民の島の破壊の女神カーリー像。
もちろん航海を邪魔しようとする魔術師クーラの仕業だが、魔術を使うと年をとっていく設定が良い。
「ハリー・ポッター」のように魔術が万能ではない。

後半には1つ目のケンタウロスや、奇跡の場所を守る神獣グリフォンも出現する。
日本の着ぐるみ怪獣や現代のCGとちがい、ミニチュアの人形をちょっとずつ動かして1コマずつ撮影する手間のかかる手法だが、特撮の神様レイ・ハリーハウゼンの手にかかると、怪獣たちが気持ち悪いくらいに生命を宿している。

黄金のパーツを巡ってクーラとシンドバッド一行の追いつ追われつの冒険は、とてもテンポが良く、アクションや展開の演出は本作がシリーズ随一と言える。
美男でヒーロー然としたシンドバッド、チームワーク抜群な船員たち、いかにも悪党な魔術師と、勧善懲悪の娯楽映画の要素が詰まっている。

だが、正直なところ、旅に同行する女奴隷の掌の入れ墨やら、奇跡の力が一体何だったのか、伏線回収が出来ていないストーリーには不満が残る。

王道のアドベンチャーに勧善懲悪。
人形アニメと絡むアクション、船での冒険、チャンバラアクションにすっかり童心に帰って楽しんだのだが…。
大人になった今、豊満なバストが露な衣装で、汗ばんだ肌がセクシーなヒロインのキャロライン・マンローの肢体に目を奪われた。
公開当時は、子ども連れのお父さんへのサービスだったのだろう。
そこに目が行く汚れた大人になってしまった自分にも気がついたのが、少し虚しかった…。
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