CHEBUNBUN

メロのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

メロ(1986年製作の映画)
1.0
【演劇面のアラン・レネ】
アラン・レネには3つの顔があるとブンブンは考えています。1つはドキュメンタリー作家としてのレネ。2つ目は『去年マリエンバートで』『二十四時間の情事』と記憶を巡る難解映画のレネ。3つ目は演劇映画作家としてのレネだ。

本作は演劇映画作家としてのレネ代表作です。ベルンシュタインの舞台劇を、アラン・レネが台本通り忠実に映画化した作品とのこと。タイトルのメロはメロドラマの意味ですが、本作ではあやど音楽が使われません。クライマックスでピアノを弾くところに意味を持たせようとしているのかと思いきや、ピアノを弾き始めた途端映画が終わってしまいます。

アラン・レネは、映画という演者に迫れる側面を活かし、3人の登場人物の内面へと迫る。役者は芝居的オーバーリアクションする必要はない。これは映画だからだ。観客は演劇的ハリボテな舞台装置で繰り広げられる囁くような声で演技する俳優の違和感によって映画に没入できる仕組みになっているのだ。

そして『愛がなんだ』ばりに面倒くさくてぐちゃぐちゃした人間関係に呆れる訳です。シンプルに恋しようぜと。

アラン・レネが執着する記憶と人間関係に迫る作品なので、厄介苦痛な作品ですが、演劇映画監督としてのアラン・レネを観たい方は是非。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUN