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残菊物語のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

残菊物語(1939年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

歌舞伎俳優の浮き沈みを描く、戦前の溝口健二監督の代表作で、松竹らしさ満載の映画。フィルムでの鑑賞。

主人公は音羽屋、尾上家の菊五郎。
(歌舞伎)役者は名跡を継いでこそイッパシ。己一人では儘ならない。というテーゼが悲恋混じりに語られていきます。
寺島母娘の活躍や柄本一家の活躍を考えると、今でも否定し難いですかね。

「東海道四谷会談」の戸板返しで無様な芝居をしていた若い菊五郎。養父は罵詈雑言だが、周囲はチヤホヤする輩ばかり。しかし、取り巻き連中は、裏で悪口を言っているのを聞き、菊五郎は悩む。そんな菊五郎に本音で接するのが、お家の乳母役のお徳だった。
菊五郎は、そんなお徳と一緒になる為、尾上菊五郎の名跡を捨て、東京を出る。
大阪、名古屋と都落ち、遂にはドサ芝居にまで落ちぶれ、女相撲風情に追い立てられ、行き場を失う。
東京を離れ五年、菊五郎の心は荒み、お徳に辛くあたります。しかし、健気なお徳は自らの病をおして、大阪で芝居を打つ従兄に、自分が身を引く事を条件に、菊五郎に舞台に上げて欲しいと頼み込みます。
「積恋雪関扉」の大役を任された菊五郎は見事に喝采を浴びます。

遂には、養父の許しを得て、親子で関西での凱旋興行。「連獅子」を華麗に舞います。そして、道頓堀川の沿道に客が溢れる、お船乗り込みの夜。
男が菊五郎を訪ねてきて、お徳の瀕死を伝える。養父にも薦められ、お徳に会いにいく菊五郎。そんな菊五郎に、お徳はお船乗り込みへ行くように諭す。お囃子が響く中、お徳は一人息を引き取るのだった--------

溝口の演出は長回しで、ゆったり、入谷の鬼子母神、道頓堀の芝居小屋街などの風景はとても興味深いものです。
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