あらゆる理不尽が蔓延る戦時中の日本において理想主義に生きた男の末路を辿る。
リアリズムの鬼と言われた小林正樹監督のライフワーク。後年のベトナム戦争名画に匹敵する傑作。
仲代達也さんがインタビューで役者人生の転機になったと語った作品でもある。
当時途方もない予算をかけて撮影され、大ヒットを記録したらしい。
一つ一つのエピソードやセリフが丁寧に積み上げられ、主人公の葛藤を浮き彫りにする。
戦場で正論を持ち出す主人公はさながらマンガの主人公のようだが、現実が彼に牙を向く。
無実の中国人捕虜を助けるか。組織や己の家族を守るか、葛藤の中、主人公の良心(人間の条件)が試される。
この映画が多くの人に見られていない現状が非常にもったいない。海外のオシャレ映画だけではなく、古い日本映画にも良いものが沢山あることを声高に言いたい。