浅野公喜

地獄の英雄の浅野公喜のレビュー・感想・評価

地獄の英雄(1951年製作の映画)
3.7
落ちぶれた記者が落盤事故に巻き込まれた男の救出をあえて先延ばしにすることで注目を浴びようとする、数年前まで御存命だったカーク・ダグラス主演ビリー・ワイルダー監督の社会派ドラマ。

事故が話題になるにつれて見物客が殺到しこれ幸いとばかりに男の妻はレストランで金儲け、そして事故現場は観覧車まで出来る遊園地状態になってしまうということでマスコミや大衆心理の怖さを描いており見方によっては滑稽さを感じるほど。

やがて良心の呵責に苛まれ改心しようとする辺りは少々強引で因果応報な最後も事故によって自身も有名になった立場を利用し、責任を取り特ダネが有るぞと、自らマスコミの犠牲者となる的展開ならより良かった気がしなくもないですが、夫を蔑ろにする妻の首を絞めながら「お前の夫も今息が出来ないんだぞ!」と迫る所はカーク・ダグラスのギラギラした演技含めとても印象的でした。
浅野公喜

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