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じゃじゃ馬ならしのtetsuのレビュー・感想・評価

じゃじゃ馬ならし(1967年製作の映画)
3.1
白黒版を観たので、合わせて鑑賞。

豪傑な男・ペトルーキオが、
町で一番乱暴な女性・カタリーナと結婚したことで巻き起こるドタバタドラマ。

率直に言うと、白黒版の方が好きだった。笑

1時間という制限により、主人公とヒロインのみにフォーカスしていた前作と比べ、妹・ビアンカの結婚や廃屋の清掃シーンなど、原作をより忠実に再現しようとした試みは素晴しいと思うけれど、それが逆に物語を複雑にしていた気も……。苦

ただ、こちらに向かって話しかける「第四の壁」的な部分だったり、BGMに合わせて、突然、歌いだすという少し奇をてらった演出は嫌いではなかった。
主人公のヴィジュアルが若干、ヒース・レジャーに似てるのも良かった。笑
(後に作られた『ヒース・レジャーの恋のからさわぎ』は、『じゃじゃ馬ならし』のリメイクらしい。笑)

今では考えられない男尊女卑的なラストには、若干、驚いたけれど、当時もその部分は批判されていたそう。
そのため、原作が出版されたのち、『The Tamer Tamed』(直訳:『じゃじゃ馬馴らし馴らし』)や『ピグマリオン』(『マイ・フェア・レディ』の原作)といった本作の批判を反映した作品が数多く出版されたらしく、ある意味で、のちの文学に大きな影響を与えた作品とも言えるのかもしれない。

最近観たシェイクスピアの伝記映画『シェイクスピアの庭』では、仕事一筋で家庭を捨ててきた彼の晩年が描かれていたけれど、これが事実に近いのであれば、本作のラストは彼が望む理想的な結末だったのかもなぁと思ったり……。

監督のフィルモグラフィーを見ると、他にも数作品シェイクスピア原作を手掛けているようなので、引き続き、それらも追っていきたいと思った。
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