土萠めざめ

時計じかけのオレンジの土萠めざめのネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

心理学の授業で治療シーンだけ観たことがあったので、いつか全部観たいと思っていた。予想はしていたけれど性描写と暴力シーンが非常に多く、ショッキング。しかし、描き方が凝っていて、不快なシーンだけれど芸術性を感じた。部屋のポップな色使いとか、音楽の使い方とか……。2時間以上ある作品なのに、無駄が無く濃厚な印象だった。
ストーリー展開にも違和感はなかった。アレックスのベートーベン好きが後半で被害者の復讐に使われるという皮肉な展開が見ていて悲しくなった。ルドヴィコ療法は原作者の創作らしいが、その発想力に脱帽。犯罪者の矯正をどう行うべきかという問題について考えさせられた。牧師の「善は心より発するもの、善は選択され得る。選ぶことのできぬものは人間とはいえない」という言葉が深い……。原作ではアレックスは改心するらしいけれど、私はこの映画の含みのある怖いラストが好き。