このレビューはネタバレを含みます
SF映画であり、古典的な全体主義の作品。主人公に目が行きがちだが主題はその背景に蠢く社会にあるように思える。
まぁキューブリックなので難解なのは覚悟の上だったがまぁそれなりに入り込んだ感じ。不快感とかも含め。
狂気的な人間が政府政策で強制され、やがてプロパガンダ利用のために欲求を解放される。がそれすらも洗脳状態にある。
最後の記念撮影とともに狂う主人公は洗脳済みであることをよく示しているし、最後の「完ぺきに直ったね」はなんとも意味深。
普通、この学生の野蛮さが主題なのではと錯覚するがこれは別にこの映画においては重要ではないのだろう。裕福な家庭の狂った若者が快楽を求めて欲を達成し、無関係な家庭を崩壊させるのはよくあることである。その印象が強いそうでその背後にある、パノプティコンに対して意識を削られる。
フーコーだとかフロムだとか、そういった社会を象徴するような作品に思える。
今後はなぜ映画史に残る名作になったのか考察したい。
あとWendy Carlos音楽が印象的。