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時計じかけのオレンジのAのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.5
キューブリック作品は癖が強いものが多いと私は思いますが、この作品にはわかりやすいかっこよさがあるという印象を持ちました。
アングル・衣装・セットなどにより、「時計じかけのオレンジ」という世界観が視覚的に表現されていることがその理由だと考えられます。そのため、ただ観ているだけでも満足するような映画でもありますが、内容は大変過激なので要注意です。

「人間の手で人間を操作することはできるか?」これがこの作品の一つのテーマだと感じました。アレックスの暴力性が取り除かれたことは喜ばしいことのようにも感じられますが、彼は必要な場面でも自衛することすらままならず、「他人を害することを一切しない」ロボットのようになってしまいました。そしてこの映画は「人の手で作り変えられ、人間性も本能もコントロールされた(時計仕掛け)人間(オレンジ)など、もはや人間ではない。」という答えを示してくれています。最後にアレックスが元の暴力性を取り戻したことは、人間が人間によって管理されることが大々的に許されてしまうような暗い世界の中において、一種の救いのようにも見えました。

2023(55)
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