猫目

時計じかけのオレンジの猫目のレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.0
学生の頃一度観たきりだったので、2023年の締めに相応しいカルト作を鑑賞🍊。
バイオレントな表現の中にも、戯曲のように計算し尽くされた動きがアーティスティック(暴力を肯定しているわけではなく)。暴力表現の上に「雨に唄えば」、「第九」を重ねているのも効果的で、これが50以上年前の作品とは。


【ネタバレあり感想】
前半の性的倒錯表現があまりにも過激で辛くなるけど、これが後のストーリーに効いてくる。特に矯正を受ける前と後のアレックスの表情の違い。
政府を挙げて、根からの悪人を自身の悪行に嫌悪を持たせるルドヴィゴ療法により人間性の矯正をした。一見成功したかのように見えたが、所詮政府の人気取りの為でしかなかったので、「元犯罪者」としてしか扱われないと知るや被験者が自殺未遂(自己に対する暴力性は失っていない証)を起こし、政府に批判が集まると再度元の悪人に戻してしまう。いや、元に戻したようで再度人間性を歪めて二重に人格を闇に葬ってしまう。
'71年から見た近未来を描いているようで、ルドヴィゴ療法はいかにも架空の療法だし(後の映像カルチャーにはかなり影響を与えたようですが)、政治家が人気取りの為に行いそうな策や、根からの悪人は存在するという風刺が効いていて改めて好きな一作になりました。過激なエロス表現をアートと捉えていいのか?難しいところですが(暴力反対)


今年の映画鑑賞はこれにておしまいです。お付き合いいただいた皆さまありがとうございました。来年も宜しくお願いします。
2023年視聴数-328本🎬でした。
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