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時計じかけのオレンジのeffyのネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

時計じかけのオレンジ初めてみた。tiktokで海外の人が作ったeditから気になっていてスタンリーキューブリック監督はザシャイニングしかみていないからと作品を漁っているところで初めに暴力的なシーンが気に入って時計じかけのオレンジから見てみた。こういったカルト映画と呼ばれる類は本当に語彙力が必要とされると思うほど感情で感じ取ってみるもので言葉にしづらいのが残念。まず全体的な映画に登場してくる服や物などがなんといっても奇抜で非日常的で狂気を感じる。ファンタジーといった様な雰囲気のヴィジュアルの映画もあるけれどこれはほんとに眩しいほどの色使いで落ち着かなさを感じた。終始映像の中では交響曲が流れていて忙しない演奏から焦燥感を感じて次のシーンでは何が起こるのかと落ち着かなかったところが集中できて気持ちよかった。スタンリーの映画は感情的なシーンが多いから頭で何か考えず先に感じ取るものの方が多い。なぜなら映像の撮り方や出演者の演技に心理的な効果を生み出してるからだと思う。自分はこの手の映画本当に好きでスタンリーの特徴的な人間の取り方、建物とその中にいる人間の位置関係、人間を真ん中に置いて建物に奥行きを持たせる撮り方が本当に好き。これによる心理効果を言葉に表すとなんだろうと思う。スタンリーはよく理性を無くして感情的になった人間を取る。人間の涙のシーンがあっても全くそそられないほど映像のスポットライトは人間の狂気にあたっていると思う。狂った様にセックスをする主人公、狂った様に怒る主人公に奥さんを殺された被害者。その時に怒りすぎて震える顔が好き。人間の深淵の中から沸々と湧いてくる感情の何かを表現するその凝視の撮り方が好き。みんなが想像してるちょっと狂気的なサイコパスを描くのではなくて日常の中で感情的になり狂っているまたは狂っていくサイコパスがいい。全体的にこの映画は性的なシーンが多い。裸もバンバン出てくる。主人公アレックスが猫を飼ってる女の家に忍び込んででちんこのオブジェクトで殺しちゃうのが面白かった。アレックスが2人の女を街でナンパして自分の部屋に連れ込み片付ける様にさっさと何回もヤるシーンもさっきの女を殺すシーンも主人公の好きなベートーヴェンの第九番?が狂気と焦燥感を掻き立ててよかった。個人的には前半の主人公が警察に捕まる前の悪事しか興味ない自信満々で狂ってる時が好きだったけど大事なのは後半の様で最後までストーリーと話の展開も面白かった。刑務所から釈放されてからが自分を見失って居場所もなくて周りに振り回されるしかない主人公が見どころなのかもしれない。前半の中で特に好きなのは冒頭のホームレスを主人公とその仲間たち4人でリンチするシーンと金持ちの家の夫婦に入って荒らして強姦するシーンが胸糞でよかった。暴力的なシーンをテーマとしてるからか警察官がヒトラーに似たヒゲをしていたり、警察署長や牧師がヒトラー演説の様に人差し指を振って力強く話すところに類似点を感じた。アレックスの心理治療の時に見せていた映画はナチスが出てきて暴力的という共通点からインスパイアされていたのではないかと思った。とにかく終始暴力的で刺激が強い。日本語は字幕しかなくて、なんだかセリフにわからない言葉が多かったから海外のスラングを知ってたり聖書を理解していたりするとさらにわかりやすい映画だと思う。自分的にはストーリーも面白かったけれどやはり映像が特によかったからかなり満足できた。
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