あおみどろ

時計じかけのオレンジのあおみどろのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.5
俺がいた。名はアレックス………なんと秀逸な物語のスタート。暴力とベートーヴェンに満ちた青年アレックス、その行く末。

これを「洒落てる映画」と言うつもりはないが、やはりキューブリックらしいアート的な側面はふつふつと感じられる。過激な描写も、ある時によっては芸術的たりうるのは正に唯一無二。男女がセックスしている姿がこうもアイコニックに映るラストシーンはそうそうないだろう。

しかしながら、そういった狂気的なシーンの合間合間は実に退屈に感じてしまった。字幕がよく分からないカタカナだらけってのもあるが、オールウェイズ・クレイジー的な映画では決して無かったように思える。まぁ『2001年〜』同様、美術と演出を楽しめよってことなのかもしれないが………

重罪を犯した者であるならば、どんな非人道的な事をしても赦されるのか?という問いかけは、現代にも通ずるものがあると思う(強姦に暴行に殺人と役満なアレックスに同情はさすがに難しいが………)。今までの行いのツケが返ってきたアレックスを非難すべきか、或いはアレックスを徹底的に虐げ続けた政府らを非難すべきか………果たしてどちらに着くべきか。「べき」で推し量れるものじゃないかもしれないがね。
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