喜連川風連

時計じかけのオレンジの喜連川風連のレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.6
気持ち悪さと気持ち良さが混在した名作。
(3日後追記、ずっとこの映画のことが頭からこびりついて離れない。)

前半部の暴力と性行為に妙な気持ちよさを感じてしまう。
人は心の中にこうした「超暴力性」を宿らせているのだろうか?

人はしきりに「彼を治す」というが、「治っている人間」など実際はどこにもいない。

劇中で世間や警察が目指す品行方正
が主人公の人間性と残忍な世間と対峙する力を失わせるのが印象的である。

悪に対して無力になっただけで、悪い心がなくなるわけではない。
「時計じかけのオレンジ」である。

性情動が芽生えた際流れる、ブレードランナーのようなシンセサイザーが1970年代的。
プログレッシブロックを聴いてるような難解さとメッセージ性は時代柄だろうか。

加えてキューブリック特有の衣装デザイン・色合いと作家の目の演技、友人の悪辣な笑いに酔いしれる。

最終盤に流れる第九に心底痺れ、この痺れはアレックスが暴力で感じている痺れに近いのだろう。
観客はアレックスを追体験する。

とんでもない快作に出会った。
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