Luciandead

時計じかけのオレンジのLuciandeadのネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

この映画の最後は危険な更生プログラムで信頼を失った政府が自殺を図ろうとした少年に信頼回復に協力を求めるところで終わる。
この主人公が非行少年であるというところがミソで、一般的に不良というのは社会に対して不満を抱いている、大人達に反抗するものという先入観を持っている。この映画はそのパブリックイメージを利用していて、それがそのまま管理社会を成立させている要素にもなっている。
少年は非行に走ってはいるが、なにかそこに思想とか理想があるわけではなくただ退屈だから、学校に行きたくないからという理由しかない。
だから逮捕され刑務所送りになり、そこで大人達が始めた更生療法という名の人体実験にさえも何も考えずに志願してしまう。
それで肉体的に抵抗できなくなった状態でシャバに放り出されるのだが、元々この少年は最初から何も社会に対して抵抗などはしていなかったのだ。
ただ世の中に流されるままでしかなかった。
だからこの映画は怪しげなルドビコ療法なる矯正などは必要ないという結論に至るわけだ。
管理社会を作るにあたってこの映画のような不良がいても良いし、『第三世代』のような政治活動をする者がいても良い。
社会に反抗する存在がいると大衆に思わせた方が操りやすいし、まだ主張する自由があると安心させられる。実際には何もしていないけども。
つまりそれ自体を管理してしまえば良い。
だからこの映画の主人公が不良である必要があったのだと思う。
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