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時計じかけのオレンジのGONのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.5
マイベストキューーーーーーーーブリック!面白い!

公開当時はこの作品の影響から犯罪等が多発し社会問題にまで発展した挙句、上映中止にまでなったマジモンの世紀の問題作。
確か円盤はキューブリックが死ぬまで発売されなかったとか。まぁそれくらいやばい作品。

ウルトラバイオレンス、強烈な風刺、雨に唄えば、ベートーベン。初めてキューブリックの選曲センスすげぇって思えたかも。
運動会でよく流れる”ウィリアム・テル序曲”を〇ックスシーンに持ってくるんだよ?しかもその描写超早送りだし!曲自体も超テンポ良いし!最高じゃん!
しかも”Singin’ in the Rain”を歌いながらボカスカ蹴り回すのどう見てもイカれてるのに何故がセンスよすぎて笑える。わざわざこの作品を見る前に『雨に唄えば』鑑賞しといてよかったよ!

(以下ネタバレを含みます)↓



前半は単純(?)なウルトラバイオレンス、後半はかなり強めの風刺+メッセージ性が描かれてます。
前半はアレックスがこれでもかと言うくらい激しく僕力を振るう。あの鋭い目付き、意味不明の片方だけつけたつけまつ毛。自分が他人の下につくことを断固拒否し、自分を陥れようとした仲間さえもボコボコ。ーーで、当然ながら仲間に裏切られちゃう。そして捕まる。
後半の実験受けてるアレックスの姿は見てる方も辛くなったな。瞬き無しでずっとあんなことさせられたらそりゃあんなことなるよ。
それで見事に更生しちゃうアレックスなんだけど、更生後の彼にもはや人間性は無く、過去の報復を受けたり、利用されたりとどうすることも出来ずやられたい放題。あれにはちょっとアレックスに同情しちゃったなぁ・・・本当はしちゃいけないんだろうけど。
アレックスが彼らにやった事と同じように、彼らもアレックスに暴力で報復をする。これじゃあ暴力の連鎖に終わりは無い。
結局人間は自分より弱い者を無意識に暴力で潰すという本能を持っているんだから。終いには弱い者を利用した政治への悪用。それだと他人に矯正された完璧な善人になっても意味が無い。それならいっそ以前の暴力に塗れた本当の自分でいた方がよっぽどマシだと。ラストシーンで以前の目付きを取り戻したアレックスの目はそう物語っているように聞こえてなりませんでした。

OPとEDの超カラフルな背景が刺激的で、どこか美しい。特にEDテーマに”Singin’ in the Rain”をぶち込んでくるあたり素晴らしいセンスを感じる。

超刺激的な作風に強烈な風刺を組み込んだ、”鬼才”キューブリックの中でも極めて異色の傑作。なんとも深い作品だなぁ〜
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