【ドブネズミから淑女へ】2023年44本目
ワーナーが多額の製作費をかけて映画化した今作。花売りイライザの生まれ育った地、ヒギンズ教授の豪邸、競馬場などすべてセットが組まれた。
登場人物の多さと衣装の華やかさも豪華絢爛で、オードリーが纏う衣装は、より彼女を輝かせている。
イギリス劇作家ジョージ・バーナード・ショウの「ピグマリオン」が原作。
映画内では、登場人物たちがストップモーションをするなど演劇の匂いも感じさせる。
物語というと、
下層階級イライザが言語学者ヒギンズに正しい英語の発音と貴婦人の作法を習い、半年後の大使館園遊会に出席できるか賭ける。という筋書き。
イライザの発音は、オードリーの快演を伴って、とにかく不快なほどに耳に入ってくる。女性嫌いで独身を貫くヒギンズにとって、イライザの変貌というのは正直何の得もなさそうであるが、彼女に心惹かれるからこその強がりとも捉えられる。
恋愛映画であることは間違いないが、直接的な表現はないし、特筆してロマンチックな場面もない。
彼女の笑顔から1日が始まることの幸せをヒギンズが気付くラストの歌まで、嫌味を言い合う男女の物語なのである。