あーさん

マイ・フェア・レディのあーさんのレビュー・感想・評価

マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)
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ミュージカル映画強化月間 第2弾 Vol.3

久々の再鑑賞。
やっぱり、面白い❗️そして、深い。
作品のバランスが、とても良い。

まず、音楽がとても耳馴染み良くて、自然なこと。突然歌い出すシーンもあるけれど、セリフのような歌詞に、違和感はあまりない。

♪ Wouldn't It Be Lovely
オードリー・ヘプバーン演じる貧しい花売り娘イライザが、"こんな素敵なことがあったらいいなぁ、、"と夢見心地に歌う歌。
花売りの仲間達とのダンスも観ていて楽しくて、思わず踊り出したくなる ♪
私は、彼女の魅力溢れるこの曲が一番好き!!

♪ I'm an Ordinary Man
皮肉屋でカチコチ頭の言語学者ヒギンズ教授が、いかに自分がもの静かで知的でまともな男か、ということを朗々と歌いあげる。そこまではまだ良いのだが、その後女は面倒くさい、しゃくにさわる、、挙げ句の果てに死神だ、と笑 もう可笑しすぎて爆笑!
明らかに言い過ぎだけど、当たっていることもあったりして、男女間の深い溝あるある!

♪ Just You Wait!
下町育ちのイライザに、初対面で"耳障りな発音をする者に生きる権利はない"とまで言い放ったヒギンズ教授。
常に上から目線で偉そうな教授にキレたイライザが、"今に見ろ、ヘンリー・ヒギンズ!"と、さも苦々しそうに歌う。
嫌なことがあった時なんかに、名前を替えて歌いたくなる勢いのあるナンバー!

♪ The Rain in Spain
' ei 'の発音がどうしてもできなかったイライザが、猛特訓のお陰でできるようになった時の歌。韻を踏む文章が印象的。
教授と協力者のピカリング大佐も一緒に歌い踊り、喜ぶシーンが楽しい。

♪ I Could Have Danced All Night
あまりにも有名な今作の代表曲。
イライザが"できなかったことができるようになり、嬉し過ぎて踊り明かしたくなる"気持ちを歌った歌。
いつか歌えるようになりたい。。

♪ Ascot Gavotte
公爵や上院議員など上流階級の集うアスコット競馬場(イギリス王室の所有らしい🇬🇧知らなかった!日本とは全然イメージが違う)にイライザが社交界デビューの練習に訪れる時の歌。
歌とは関係ないが、マダム帽に白黒基調のドレス、シルクハットにモーニング…セシル・ビートンの衣装が美しく、見ているだけで目の保養。。

♪ On the Street Where You Live
アスコット競馬場でイライザに一目惚れしたフレディが、彼女への恋心を切々と歌う。
昔、ホリー・コール・トリオのカバーを散々聴いていたので、歌い手が変わるとこんなに印象が変わるんだなぁ〜と新鮮な感じがした。
"ロシュフォールの恋人達"でジャック・ペランが恋心を歌うのにどこか似ている。(こちらが先)
etc...

そして、キャスト!
明るい街の花売り娘から、立ち振る舞いも垢抜けて美しくドレスを纏うレディへと変身を遂げる、芸達者なヘプバーンの魅力が余すところなく味わえる。
彼女の歌の多くの部分が吹き替えになったこと、1964年度アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、主演男優賞他8部門受賞するも、そこにヘプバーンの名前はなかったこと(最優秀女優賞はイライザの役を逃した"メリー・ポピンズ"のジュリー・アンドリュースが受賞)等、そういうことを諸々鑑みても、私はイライザがヘプバーンで良かった!と思っている。
(ただ特典映像で彼女の歌を聴いたけれど、やはり吹き替えにして正解かなと。
ミュージカルの歌い方はある種独特で、ヘプバーンの歌も味があって素敵だけれど、他の演者との違いが際立ってしまうように思えた。素人の見立てだけれど、声量がある程度ないとミュージカルっぽくならないんだなぁ。。)

個性的なヒギンズ教授を舞台からレックス・ハリソンが、イライザの父親をこちらも舞台からスタンリー・ホロウェイが演じているが、この二人がキョーレツなキャラクターで魅せてくれる笑
二人とも恋人としても親としても、何だかなぁ、、という曲者なのだが、どちらもキラッと光るものを持っていて、なかなか魅力的なのだ。
でも、ヒギンズ教授の口の悪さは筋金入りだし(おまけにマザコン)、イライザの父親のクズっぷりときたら、、めっちゃあかん所とめっちゃ良い所が共存していて、これはタチが悪い。。笑

父親のアルフレッドが歌う、
♪ With a Little Bit of Luck
♪ Get Me to the Church on Time は
今作の中でもピリッと効いていて、好きなシーン。彼の調子の良さ、貧しいが故の頭の良さを物語っていて、楽しいし聴き応えがある。彼の末路も見所だ。

ヒギンズと一緒にイライザを社交界デビューさせるピクリング大佐にウィルフリッド・ハイド=ホワイト。優しくてジェントルマンなおじ様 ♪ 結婚するなら絶対こっち!
ヒギンズの母親(グラディス・クーパー)も、変わり者の息子を案じながらも突き放す、なかなかナイスなお母様。参考にしよう⁉︎

さてさて、ヒギンズ教授とイライザの行く末は、、?
先行きが心配にならないでもないけれど、自己を確立したイライザはきっとヒギンズ教授と対等にやっていけるのかな。。


花売り娘が洗練されて社交界デビューするまでの話に裏テーマである階級差の話を絡めて、エンターテイメントに仕上げているのが素晴らしい。

音楽もストーリーもアートも楽しめる、盛り沢山なお気に入りの作品 ♪♪


観た人とあれこれ話したくなるなぁ。。
あーさん

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